肉用鶏ほど多く利用される陸生動物はいないのではないでしょうか。国内でも7億羽/年以上が飼育されています。そのため肉用鶏のアニマルウェルフェアの向上は、最もインパクトの大きな改善になるでしょう。また薬剤耐性菌の産出とも深く関わる肉用の養鶏は、社会の持続可能性にとっても重要であると言えます。

欧州の企業を中心に、European Chicken Commitment(ヨーロピアンチキンコミットメント)にサインする企業が増えています。これは動物保護団体がベターな肉用鶏の飼育基準を決めたもので、肉用鶏の様々なアニマルウェルフェアの課題への解決方法を提示しています。

課題1 急速に成長する

本来120日かけて成鳥になる鶏、40~50日で大きさだけ成鳥になるように品種改変されてきました。そのため、鶏たちは歩くことが困難になり、立てなくなり、代謝障害になって副水症や突発死症候群になり、動きが鈍くなり活動量が低下することがわかっています。
体重が重いと筋肉が変性し、肉の品質も低下します。

解決策1

品種改変が進みすぎていない品種を選ぶことが可能です。
緩やかな成長率の品種(slow growth:1日35g未満)、または早すぎない成長率の品種(medium growth:1日50g未満)を選択してください。また、成長率に関連する健康と福祉結果を観察することが必要です。 

具体的な品種は、Hubbard JA757, 787, 957, or 987, Rambler Ranger, Ranger Classic, and Ranger Goldをヨーロピアンチキンコミットメントは推奨していますが、おそらく日本の地鶏(銘柄鶏とは異なる)などが該当するでしょう。

課題2 密飼い

日本の肉用鶏の密飼いの状況は悪く、EU規制の1.4倍(通常)~1.7倍(特別飼育)、ブラジルの平均の1.8倍の過密飼育状態が起きています。

高い飼養密度は死亡率の上昇、足の障害や皮膚炎の発生率上昇、急速が妨げられる、低い歩行能力、抑制された行動の自由、劣悪な敷料(床)の状態、熱ストレスの原因になります*1。動きが少ない状態は体重増加を早めるため、密飼いは課題1にもつながります。

解決策2

30kg/㎡以下の飼育密度を保つことが求められます。空間許容値は成長と相対して計算されるべきです。

*1The Effect of Stocking Density on the Welfare and Behaviour of Broiler Chickens Reared Commercially

課題3 不毛な鶏舎

本来、突き、探索し、足で地面を掘って狩猟し、日光を浴び、砂浴びをしますが、集約的畜産においては多くの鶏舎は自然光や自然体がなく、自然な行動の発現を妨げられてしまっています。このことは、不快な温度や湿度、成長周期に不適切な相対湿度、劣悪な大気環境、湿ったり糞尿を踏みしめた状態の敷料(床)、低い活動レベル、趾蹠皮膚炎、呼吸器問題を引き起こします。

解決策3

鶏舎の中は十分な通気性、清潔で乾燥した藁を提供する必要があります。また自然光を入れ、藁のかたまり、止まり木、つつき対象物を提供します。さらに、できる限り屋外エリアも提供し、木々、低木、草などの自然物も提供されるとなお良いでしょう。

ベターな飼育方法として、自然光を与えることと、1,000羽の鳥につき最低2メートルの使用可能なとまり木スペース、および2種類のつつく素材を与えることが求められています。

Compassion in world farming
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