穀類や濃厚飼料ベースの酪農と比較して、牧草地ベースの飼料が与えられた牛から生産された牛乳には栄養学的利点があることがわかっています。

例えば、重要な脂肪酸*1*2*3*5、ビタミンやミネラル*1*2は高いレベルで含まれていました。一方乳脂肪分の割合は、濃厚飼料ベースの場合はホルスタイン3.33%ジャージー牛4.1%、放牧ベースだとホルしたいん3.23%ジャージー牛3.68%と、低いということがわかっています*3。乳脂肪分は高いほうが良いのではというのは誤りで、こんな記事もあります。

神経機能向上や動脈性心疾患予防やある種の癌*4に関連があるオメガ3脂肪酸は、濃厚飼料などの外部飼料をたくさん投入する集中型システムよりも、外部からの飼料をあまり投入しない牧草地ベースのシステムにいる牛の牛乳に多い事もわかっています。

更に、オメガ6脂肪酸に対するオメガ3脂肪酸の割合は、牧草採餌の牛からの牛乳において、健康を増進する推奨レベルにより近いことが発見されています*2。

オーガニック牛乳には、従来の牛乳より、多価不飽和脂肪酸(PUFA)全体、共役リノール酸(CLA)とα-リノレン酸を含む有益な脂肪酸が*1高い割合で濃縮されています。なお、日本のオーガニック牛乳(JAS有機畜産)は放牧が義務付けられているものです。

共役リノール酸と多価不飽和脂肪酸は牧草地へのアクセスを与えられた牛の牛乳に高く含まれます*3;*2*5。共役リノール酸は潜在的な抗発がんと抗アテローム性動脈効果(心臓の健康に良い)があると示されており*4、また体脂肪率減少にも役立ちます*6。牧草摂取レベルの増加は共役リノール酸レベルを増加し*2、また重要なことは、刈った草を餌に与えられるのとは反対に牧草が採餌される場合*7、共役リノール酸レベルが50%高く、牧草採餌の重要性が示されるということです。つまり、牛自身が、牧草地に出て草をはむことが、栄養価を上げることにつながっているということです。

さらに、ℬ-カロチン、ルテイン(両方が目の健康にも重要)や、α-トコフェロール(ビタミンEの種類)も牧草ベースの低投入システムの牛乳に著しく高いということもわかっています。

 

*1Bergamo, P., Fedele, E., Iannibelli, L. and Marzillo, G. (2003) Fat-soluble vitamin contents and and fatty acid composition in organic and conventional Italian dairy products, Food Chemistry
*2 Butler, G., Nielsen, J. H., Slots, T., Seal, C., Eyre, M., Sanderson, R., Leifert, C. (2008). Fatty acid and fat-soluble antioxidant concentrations in milk from high- and low-input conventional and organic systems: seasonal variation
*3 White, S. L., Bertrand, J. A., Wade, M. R. et al (2001) Comparison of Fatty Acid Content of Milk from Jersey and Holstein Cows Consuming Pasture or a Total Mixed Ration
*4 Ellis, K. A., Innocent, G., Grove-White, D. , Cripps, P., McLean, W.G., Howard, C.V., Mihm, M. (2006). Comparing the Fatty Acid composition of Organic and Conventional Milk, Journal of Dairy Science. 
*5 Walker, G. P., Dunshea, F. R. and Doyle, P. T. (2004) Effects of nutrition and management on the production and composition of milk fat and protein: a review, Australian Journal of Agricultural Research 
*6 DeLany, J. P. and West, D. B. (2000) Body Composition Changes and Conjugated Linoleic Acid
*7 Offer, N.W. (2002) Effects of cutting and ensiling grass on levels of CLA in bovine milk. In: Gechie, L.M., Thomas, C.(eds.) Proceedings of the 13th International Silage Conference, Scottish Agricultural College, Auchincruive, UK, pp

 

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